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アイデンティティガバナンス&管理(IGA)とJIT(Just-In-Time)アクセス

公開:2026-08-30 最終確認:2026-08-30

背景と概要

企業のSaaS導入やマルチクラウド活用が進んだ結果、従業員一人ひとりが保持するアカウントやアクセス権限の数は膨大になりました。人事異動や組織改編、退職に伴う権限変更が追いつかず、不必要なアクセス権限(過剰な特権や離職者の残存アカウント)が放置されることが大きなセキュリティリスクとなっています。

これらのアカウントのライフサイクルを自動化し、ガバナンスを効かせる仕組みが「IGA(Identity Governance and Administration)」であり、さらに必要な時だけ最小限の権限を与える概念が「JIT(Just-In-Time)アクセス」です。

権限管理の不備が招くセキュリティ事故

手動管理による限界が、不正アクセスや内部不正の引き金となります。

1. 退職者アカウントの削除漏れ

退職した従業員のアカウントがIdPや個別SaaS(GitHub、Salesforce等)に残存しており、退職後に元従業員が不正ログインして競合他社へ顧客データを持ち出すケースです。

2. 「権限のクリープ(Privilege Creep)」現象

部署移動や昇進を繰り返す中で、過去の部署で使っていた古いアクセス権限が削除されず追加され続けることで、最終的に一人のユーザーが不自然に巨大なアクセス権限を保持してしまう現象です。

3. 監査・コンプライアンス要件への不適合

「誰がどのシステムにどのような理由でアクセス権を持っているか」を定期的に確認・証明できず、J-SOXやSOC2などのセキュリティ監査で指摘を受ける事例です。

IGAとJITアクセスが提供するソリューション

アイデンティティのライフサイクル自動化と、動的な権限付与を行います。

IGA(Identity Governance and Administration):

人事データベース(SmartHRやWorkday等)と連動し、入社・異動・退職のイベントに合わせて、IdPや各SaaSへのアカウント作成・権限変更・削除(Provisioning / Deprovisioning)を自動で実行します。また、定期的な権限の承認・監査ワークフロー(Access Certification)を提供します。

JIT(Just-In-Time)アクセス:

ユーザーに高権限を常時与える(Standing Access)のではなく、「障害対応でデータベース操作が必要になった」際、申請・承認を経て「2時間のみ有効な特権」をオンデマンドで動的付与する仕組みです。

導入に向けた実務ポイント

人事プロセスとの完全な自動連携とプロビジョニングの標準化が推奨されます。

1. 人事システムを「信頼できる唯一の情報源(Source of Truth)」とする

IT部門が手動でアカウント作成・削除を行う運用を廃止し、人事データが入替・更新された瞬間にAPI経由で即座にアクセス権が更新・無効化される仕組み(SCIMプロトコル等の活用)を整備します。

2. 最小権限ベースの役割(Role)設計

部署や職種ごとに必要最低限の権限パッケージ(Role)を定義し、個別の個別権限付与(特例措置)を極力排除する運用へシフトします。