PR 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。掲載順や評価は広告報酬だけでは決定しません。

TOPセキュリティ › 記事

サイバー被害における「広報・IRコミュニケーション」と信頼回復の法務

公開:2026-09-05 最終確認:2026-09-05

事故公表、個人情報保護、当局報告、契約上の通知には法的判断が伴います。事実確認を優先し、法務・広報・経営・インシデント対応責任者が連携して判断してください。

【背景と概要】

万が一、自社がサイバー攻撃を受け、システム停止や大規模な個人情報・顧客データの漏えいインシデントが発生した場合、IT部門によるシステム復旧作業と並行して、企業の存続を左右するのが「対外的な広報・IR(投資家向け広報)コミュニケーション」です。

事故発生時の説明不足、事実の隠蔽、遅すぎる発表、あるいは二転三転する記者会見は、サイバー攻撃そのものによる被害以上に企業の社会的信用を失墜させ、株価の下落、顧客の離脱、規制機関からの厳しい処罰を招く「二次災害(二次被害)」を引き起こす要因となります。

【事故発生時の広報対応で陥りがちな失敗パターン】

混乱した現場での不用意な対応が火に油を注ぐ結果となります。

  1. 「調査中」を理由にした長期間の口噤み(発表の遅れ)

「すべての調査が完了するまで発表しない」という姿勢をとると、ダークウェブ上で漏えいデータが暴露された際やSNSで噂が拡散した際に「隠蔽工作を行っていた」と批判され、メディアや顧客からの不信感が決定的なものになります。

  1. 根拠のない「漏えいの可能性はありません」という早期否定

初動段階で十分なログ解析が終わっていないにもかかわらず、保身から「情報流出の形跡はありません」と発表し、その後の詳細調査で流出が判明して前言を撤回・謝罪するパターンです。企業の信頼性は壊滅的な打撃を受けます。

  1. 責任の外部転嫁と技術的専門用語の多用

「委託先が悪い」「高度な攻撃だったため防げなかった」といった言い訳に終始したり、一般顧客に理解できない専門用語を並べて説明を煙に巻こうとする姿勢は、誠実さを欠く対応として非難の対象となります。

【信頼の失墜を防ぐ「クライシスコミュニケーション」の原則】

正確性・迅速性・誠実性のバランスを保った情報開示が求められます。

  1. 第1報(速報)における「分かっていること・分かっていないこと」の明確な提示

事故発生直後の第1報では、すべての事実が判明していなくても、「インシデントの発生事実」「現在取っている緊急措置(システムの遮断等)」「調査中である事項」「今後の発表予定」を迅速(数日以内)に公表します。

  1. 被害者(顧客・取引先)目線に立った真摯な対応策の提示

単なる謝罪にとどまらず、「影響を受けた可能性のある顧客への個別連絡手順」「問合せ専用窓口(コールセンター)の設置」「不正利用防止のための顧客側での推奨アクション」を具体的に提示します。

  1. 個人情報保護委員会や警察などの行政・法務要件との整合

日本の個人情報保護法が求める報告期限(速報・確報)やガイドライン、法的助言(弁護士)に基づき、法的に適切な表現とタイミングでプレスリリースを作成します。

【平常時からの有事広報トレーニング】

有事のパニック状態で適切な文章作成や会見は不可能です。

  1. シナリオ別プレスリリース・Q&Aドラフトの事前作成

「ランサムウェアによる業務停止」「委託先経由の個人情報漏えい」などの代表的な事故シナリオを想定し、プレスリリースの雛形や想定問答集(FAQ)を平常時から準備しておきます。

  1. 経営陣・広報・IT・法務が参加する模擬記者会見演習

年に1回、経営トップや広報担当者が参加するクライシス演習(疑似記者会見や模擬プレスリリース作成)を実施し、意思決定のラインと開示基準をテスト・洗練させておきます。