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二段階認証を無力化する「SIMスワッピング(SIM Swapping)」と携帯電話番号認証のリスク

公開:2026-09-01 最終確認:2026-09-01

SMSを使う認証は、SIM変更や番号移行などのリスクを考慮して運用する必要があります。利用できる場合はパスキーやセキュリティキーなど、フィッシング耐性のある認証手段も検討してください。

【背景と概要】

二要素認証・多要素認証(MFA)の手段として、広く利用されてきた「SMS(ショートメッセージ)によるワンタイムパスワード(OTP)」の送信。しかし、このSMS認証の仕組みを根本から無効化する「SIMスワッピング(SIM Swapping)」と呼ばれるフィッシング・詐欺手口が世界中で被害を広げています。

携帯電話番号を乗っ取ることで、被害者のスマートフォンに届くはずの認証コードを攻撃者の端末で直接受信してしまうため、オンライン銀行口座の不正送金や、クラウドサービスのアカウント奪取(乗っ取り)に悪用される事例が報告されています。

【SIMスワッピングの手口とメカニズム】

サイバー空間でのハッキングと、物理的なソーシャルエンジニアリングを組み合わせた手法です。

  1. 事前情報の収集(フィッシングやOSINT)

攻撃者はあらかじめフィッシング詐欺や闇市場(ダークウェブ)を通じて、標的の「氏名」「生年月日」「住所」「携帯電話番号」「暗証番号」などの個人情報を特定しておきます。

  1. 携帯キャリア(ショップ・サポート)での偽装手続き

携帯キャリアの店舗やオンラインサポート窓口に対し、偽造した身分証明書を持参するか、盗み出した個人情報を提示して「スマホを紛失したので、新しいSIMカードを発行してほしい」と偽りの手続き(SIM再発行)を行います。

  1. 通信の完全乗っ取りとSMSの横取り

キャリア側で新しいSIMカードが有効化されると、被害者の手元にあるスマートフォンの通信は突然不通(圏外)になります。一方、攻撃者の端末に挿入された新SIMカード宛に、被害者宛の電話やSMS(ワンタイムコード)がすべて届くようになります。

【なぜSMS認証は「安全なMFA」と言えなくなったのか】

米国NIST(標準技術研究所)をはじめとするセキュリティ機関は、SMS認証を「通信の盗聴やSIMスワッピングに対して脆弱な認証方式」と位置づけ、重要システムでの利用の廃止・見直しを勧告しています。

【企業における脱・SMS認証と代替アプローチ】

通信キャリアや電話番号に依存しない、強力な認証手段への切り替えが求められます。

  1. タイムベースワンタイムパスワード(TOTP)アプリへの移行

SMS認証を廃止し、`Google Authenticator` や `Microsoft Authenticator` などの認証アプリ(TOTP)によるコード生成方式へ移行します。端末内のアプリで生成されるため、SIMを交換されてもコードは流出しません。

  1. FIDO2 / パスキー(Passkey)の導入

公開鍵暗号技術に基づくパスキーやセキュリティキー(YubiKey等)を導入します。端末とWebサイトのドメインが強固に紐付くため、SIMスワッピングやフィッシング攻撃を根本的に無効化できます。

  1. アカウントリカバリープロセスの厳格化

「パスワードを忘れた場合の再設定手段」としてSMSコード送信のみを設定している場合、それが弱点(単一障害点)となるため、複数の認証要素や管理者承認を必須とするプロセスへ見直します。