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重要インフラを脅かす「OT / ICS(制御システム)セキュリティ」の現実

公開:2026-08-29 最終確認:2026-08-30

背景と概要

工場、プラント、電力・水・交通インフラなどの制御システム(OT: Operational Technology)は、従来ITネットワークから完全に孤立(エアギャップ)された環境で運用されてきました。しかし、スマート工場化(IoT導入)やリモートメンテナンスの導入により、ITとOTの融合が進んだ結果、サイバー攻撃の直接的な標的となっています。

制御システムへの攻撃は、単なるデータ損失にとどまらず、物理的な設備の破壊や社会インフラの停止という壊滅的な被害をもたらします。

OT環境固有の脆弱性と脅威

ITシステムとは異なるOT特有の事情が、対策を困難にしています。

1. レガシーシステムとパッチ適用の困難さ

 OT機器は10年〜20年単位の長期間利用されることが多く、古いOSや脆弱性が残ったまま稼働しています。また、停止が許されないため簡単に修正パッチを適用できません。

2. 認証機能の欠如

 古いOTプロトコル(ModbusやBACnetなど)の多くは、通信相手の認証や暗号化を行わない設計になっているため、侵入されると容易に不正コマンドを受け入れてしまいます。

3. IT網を経由した横移動(ラテラルムーブメント)

 オフィスのITネットワークやVPN保守回線が突破され、そこから工場の制御網へ侵入されるケースが急増しています。

OTセキュリティの推奨アプローチ

「運用を止めないセキュリティ」を前提とした構築が必要です。

1. 厳格なネットワークセグメンテーション(Purdueモデルの適用)

 ITネットワークとOTネットワークの境界に産業用ファイアウォールを配置し、許可された特定の通信以外をすべて遮断します。

2. 資産(アセット)の自動可視化と受動的監視(Passive Monitoring)

 制御システムの稼働に影響を与えないよう、ネットワークパケットを傍受・解析することで、接続機器のリスト化と異常通信の検知を行います。

実務で深掘りしたい確認点

PLC、HMI、エンジニアリング端末、保守回線など停止影響の大きい設備をひとまとまりの管理対象として捉えます。通常工程と異なる設定変更、遠隔操作、通信パターンを安全性を損なわない方法で監視します。 単発の警告だけで判断せず、利用者・端末・時刻・変更履歴を関連付けると、通常業務との違いを説明しやすくなります。

発見時の初動と影響確認

生産安全を最優先し、現場責任者と連携して区画を分離し、安易な再起動を避けます。 復旧を急ぐ場合も、後から原因と影響範囲を説明できるよう、時刻、担当者、実施した操作、保全した証拠を残します。外部への通知や専門家への相談が必要かも、扱うデータと業務影響から判断します。

継続運用へ落とし込む方法

資産台帳、ネットワーク分離、保守端末管理、代替運転を含む演習を整備します。 導入時だけで終わらせず、例外件数、検知から対応までの時間、再発、利用者からの相談を定期的に確認します。訓練や実際の対応で見つかった手順の曖昧さを更新し、責任者不在時にも動ける状態を維持します。